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  • 執筆者の写真Kendall Lab

エンジンオイルとATFの「オイルフィルター」類もチェックしよう!

皆さんこんにちは!Kendallラボ担当・ケン太です。

いろいろあった2022年も残すところあとわずか。

年内最後のイベント「大掃除」を前に、エアコンや空気清浄機、レンジフードなどの各種フィルターをキレイにしました。

ところが、ロボット掃除機のフィルターは、まめに掃除をしているにも関わらずキレイになりません。

そこで説明書を開くと「フィルターは2ヶ月を目安に交換」とのこと。

慌てて「フィルター6個セット」を注文しました。


先に挙げた家電製品と同様に、クルマにも色々なフィルターが使われていますね。

エンジン内部に取り込む空気をキレイにするエアフィルター、室内に取り込む外気をキレイにするエアコンフィルターなどがその一例です。

今回のKendallラボは、エンジンオイルやATFの汚れを取り除く「オイルフィルター」に関する話題です。クルマの性能を維持するだけでなく、安全・快適に走行できるよう、オイル類だけでなく、オイルフィルター類も定期的なチェックが必要です。


さて、エンジンオイルやATFには清浄分散剤が入っているものの、クルマが走ったときに発生するゴミが減ったり、消えたりするワケではありません。

クルマが走った分だけ増えていく内部のゴミ。それを除去する役割を担うのが、オイルフィルターです。


そのオイルフィルターですが、役割や取付位置などによっていくつかの種類に分類されています。

しかし、それらは「オイルフィルター」という一般的な言葉で一括りにされてしまっており、「どんな部品なのか」「どこに、いくつあるのか」「どんな役割なのか」等、よくわからないという方が多いようです。

今回は、その辺りの疑問について解説しましょう。



まず、エンジンオイルのオイルフィルターですが、エンジンオイルが溜められているオイルパンの中に「(1)オイルストレナー」と呼ばれる部品が装着されています。

エンジン始動とともにオイルポンプで吸い上げられるエンジンオイルをろ過し、大きなゴミなどはここで取り除かれます。なお、「(1)オイルストレナー」の定期交換は不要です。


そして、エンジンオイルにはオイルフィルターがもう1つあり、それが皆さんお馴染みの「(2)オイルエレメント」と呼ばれるもので、エンジン外部に装着されています。

つまり、エンジンオイルのオイルフィルターは内部と外部、合計2個付いているのです。


次に、ATFに関するオイルフィルターですが、ATFが溜められている専用オイルパンの中(またはATオイルパンと一体化)にAT専用の「(A)ストレナー」が装着されています。ATFと直接関係のあるオイルフィルターはこの1個です。

※例外的にDCT(デュアルクラッチトランスミッション)は、外部に筒状のオイルエレメントが装着されていますので、合計2個付いています。



整備士さんの中には交換した経験がない方も。ATFのストレナー

AT車の変速装置(トランスミッション)の内部には、非常に細く、迷路のように複雑に入り組んだ油の通り道(油路)が設けられています。

そこにATFという油圧作動油を循環させ、油圧を使って歯車などの部品を動かし、最適なギアに変速することでクルマを走らせているのです。


複雑で狭い油路を通るATFですが、こちらもエンジンオイルと同様にクルマが走った分だけ汚れていきます。ATFの汚れの大半はトランスミッション内部で働く、数え切れないほどの歯車から出る鉄粉です。

この鉄粉が狭い油路のどこかに詰まり、油路をふさいでしまうことになったら・・・油圧が低下するなどしてクルマの調子は悪化していきます。


最終的には、変速ができなくなるなどの深刻なトラブルが発生します。

AT車の油圧回路には、髪の毛が1本入り込んだだけで不具合が出てしまうのです。

そのような事態に陥るのを防ぐのが、ATF用「(A)ストレナー」です。

鉄粉などがとても複雑で狭い油路に入り込まないように、「ろ過」する役割を担っています。


では、それほど重要な部品なのに、ATF用「(A)ストレナー」の存在はなぜあまり知られていないのでしょうか?

その理由として、「ATFは無交換でも良い」という風潮が影響しているように思います。また、ATF用「(A)ストレナー」は、ATFが溜まるオイルパンの内側にあるため、外から見ることはできません。

交換を薦めることも、薦められることもなければ、実物を目にする機会もない。

知らない人のほうが多くても、何ら不思議ではありません。


私たち人間の体には、「肝臓」「腎臓」という臓器があります。

肝臓は「有害物質の解毒・分解」、腎臓は「老廃物や余分な水分・塩分の排出」という役割を果たしています。

これまでに見てきたオイルエレメントやストレナーはいずれも働きがソックリです。

人間の臓器は容易に交換できませんし、健康は簡単に手に入りません。しかし、クルマの部品は交換できて、調子を取り戻すのも簡単ですね。



交換可能な各種オイルフィルターを、長く交換しないとどんな影響が?

まず、前述のとおり、エンジンオイルの「(1)オイルストレナー」は定期交換する必要はありません。

エンジンの「(2)オイルエレメント」の場合、「ろ紙」が目詰まりを起こすことが考えられます。


しかし、万が一そのような状態になっても、油路の途中にあるバイパス・バルブ(リリーフ・バルブ)が開き、「(2)オイルエレメント」を必ずしも通過しなくても直接各部にエンジンオイルが行きわたる仕組みとなっているため、エンジンオイルの循環は止まらないようになっています。

ただし、除去できなかったゴミがエンジン内部を循環するので、次第にゴミが蓄積し、エンジンの調子が悪くなることが考えられます。


エンジンの「(2)オイルエレメント」の交換のタイミングについては、「オイル交換2回に1回」などといわれていますが、それは3,000km~5,000kmという短いスパンでオイル交換をする場合です。

Kendallエンジンオイルのような“長持ちエンジンオイル”を利用する場合は、オイル交換と同時に「(2)オイルエレメント」の交換もオススメします。


次に、ATF用「(A)ストレナー」の場合、エンジンにあるような都合の良いバイパス・バルブ(リリーフ・バルブ)は存在していません。

そのATF用「(A)ストレナー」はヒラメ状で非常に細かい網目になっており、小さな金属摩耗粉やゴミなどの除去能力が高く、そもそも目詰まりしやすい構造になっています。


また、ATF用「(A)ストレナー」の自然浄化は不可能で、長期無交換のままで走り続けることで、その中は鉄粉などのゴミでいっぱいになり、目詰まりすると上に反りあがってきます。そうなると、ATFをATオイルパンからポンピングする際、適量のATFを吸い上げることができなくなり、油圧を低下させてしまいます。


さらに、このとき同時に多量の空気も一緒に中へ吸い上げることになるため、ATFを強制的に酸化させてしまう状態となり、早期にATFをダメにしてしまいます。

その結果、ATが正常に働かなくなってしまうのです。


ATF用「(A)ストレナー」についても、本来はATF交換と同時の交換が理想です。

ATF交換の際は、必ずATF用「(A)ストレナー」の状態も併せてチェックしましょう。

ストレナーに金属摩耗粉やゴミが溜まっているにもかかわらず、ATF(油)だけを新しいものに取り換えても意味がありません。


最後に、ATFとATF用ストレナーを交換する場合は、ATFが溜まる「オイルパン内側」の掃除もお忘れなく


 

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