皆さんこんにちは!Kendallラボ担当・ケン太です。
35回目となるKendallラボのテーマは「エンジンフラッシングは必要なの?どんな方法・やり方が良い?」です。
今までとは少し違ったメンテナンスの話題になります。
エンジンオイルを市場に提供している私たちの立場・視点から、「エンジンフラッシングって何?必要なの?」「エンジンフラッシングのやり方は?」といった気になる疑問にお応えします。
まずはエンジンフラッシングの目的とその方法を知ろう
これまでのKendallラボでも何度かお話ししていますが、クルマやバイクのエンジン内部では、走れば走るほど汚れが発生していきます。
ここでいうエンジン内部の汚れとは、ガソリンなどの燃料の燃えカス(スラッジやカーボン)、部品同士の摩擦でできた金属粉、古くなって酸化劣化したエンジンオイルといったものです。
エンジンフラッシングとは、蓄積されたエンジン内部の汚れを、専用の薬剤や特殊な機械を使って洗浄・除去すること。
「走行距離が多い」「製造から長い年月が経過している」「長期間エンジンオイルを交換していない」など、エンジン内部に汚れが蓄積している可能性が高いクルマ・バイクのメンテナンスとして行われることがあります。
そんなエンジンフラッシングの方法としては、以下の3つが挙げられます。
1つ目は、エンジンオイル添加剤を使う方法です。
「フラッシング剤」と呼ばれる添加剤をエンジンオイルに混ぜてエンジン内部を循環させ、エンジン内部の汚れを落とします。
添加後、10~15分程度のアイドリング後に抜き取るというのが一般的な使い方のようです。
添加後に数百から数千kmを走らせて、ゆっくり洗浄する「遅効性」の添加剤もあります。
2つ目は、「フラッシングオイル」という洗浄剤を使う方法です。
エンジンオイル全量を抜き取った後、エンジン内部にフラッシングオイルを入れてしばらくアイドリング。
添加剤と同様、フラッシングオイルがエンジン内部を循環しながら汚れを落とすという仕組みです。
3つ目は、機械を使用したエンジンフラッシングです。
ポンプやホースを備えた専用の機械を使ってエンジン内部に洗浄液を流し込み、溜まった汚れを除去していくという方法です。
洗浄液と取り除いた汚れは常に排出・濾過されるようですから、除去された汚れがエンジン内部を循環することがなく、洗浄剤も内部に残りにくいという点が安心材料になります。
基本的に「必要はない」けれど・・・こんな場合は検討の価値アリ
通常の場合、クルマに合ったエンジンオイルを使用し、適切なタイミングでオイル交換を行っていれば、エンジン内部に汚れが蓄積したり、溜まった汚れのせいでエンジントラブルが発生したりといった心配はありません。
したがって、「適切なオイル交換を行っていれば、エンジンフラッシングをする必要はない」というのが私たちの基本的な立場です。
とはいえ、クルマやバイクの使用頻度や使用環境、運転の仕方などによっては「どうしてもエンジン内部に汚れが溜まってしまう」という場合もあるでしょう。
エンジン内部に汚れが蓄積してくると、パワーがなくなったり、燃費が悪くなったり、アイドリングが不安定になったり・・・といった「気になる症状」が現れることがあります。
そういった症状が顕著に現れた場合には、エンジンフラッシングを検討してみても良いでしょう。
※エンジンフラッシングをしなくても、「エンジンオイルの粘度を上げる」ことで、気になる症状を改善できる場合があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
そしてもう一つ、「整備履歴がハッキリしない中古車」を購入した場合にも、エンジンフラッシングを検討する価値がありそうです。
通常、ディーラーや整備工場で点検やメンテナンスを行うと、その内容・履歴を「整備点検記録簿」や「メンテナンスノート」といったものに記録していきます。
そこには当然、オイル交換に関する情報も含まれます。
購入した中古車にそれらが残っていない場合、エンジンオイルの交換時期や頻度などを把握することができません。
エンジン内部の状態を確認することは簡単なことではありませんし、エンジン本来の性能やフィーリングといったものも分からないというのは不安です。
そんなときは「リセット」を目的に、エンジンフラッシングを行っても良さそうです。
エンジンフラッシングを行う場合は「機械式」が無難
エンジンフラッシングを行う場合、まずは「どの方法を選択するか?」で迷うことになると思います。
先に挙げた3つの方法のうち、1つ目の「添加剤」と2つ目の「フラッシングオイル」は避けるほうが良いでしょう。
添加剤またはフラッシングオイルによるエンジンフラッシングは、その気になれば誰でも出来そうな作業ですが・・・それだけに、果たしてどれほどの効果が得られるのか?という疑問が残りますし、やり方を間違えて余計なトラブルを招く恐れもあります。
また、エンジンオイルを扱う立場からすれば、エンジン内部に残った添加剤やフラッシングオイルが、エンジンオイルに悪影響を及ぼすのでは?という点が気がかりです。
したがって、エンジンフラッシングを行う場合は、機械式エンジンフラッシングの経験・実績が豊富なディーラーや整備工場で、じっくりと相談したうえで行うのが無難です。
相談の際は、オイル交換の時期や頻度、悩みの症状などをきちんと伝えるようにしましょう。
<ご注意ください!>
すでに「オイル漏れ」などの不具合を起こしているクルマ・バイクの場合、エンジンフラッシングを行うことで症状が悪化する場合があります。
そのほかにも、エンジンの種類や状態によってエンジンフラッシングができない場合がありますので、ディーラーや整備工場で事前に相談・確認することをオススメします。
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