皆さんこんにちは!「ケンドルラボ」担当・ケン太です。
スマホに保存している写真を整理していると、昨年の秋に熊本市内で撮影した1枚に違和感が…。
通りがかったパトカーが写っているのですが、車体側面にある「熊本県警察」の文字が筆文字風の書体なのです。
「まさか、このパトカーは偽物?」と思い調べてみると、熊本県警のパトカーだけが筆文字風の書体を採用しているとのこと。
この書体、県警OBの方がお書きになった文字(ステッカーで貼付)ということで、まさしくオリジナルの書体なのですね。
タイトルの通り、日本の警察にパトカーが導入されたのは、今から75年前の1950年(昭和25年)6月のこと。
日本初のパトカーは、アメリカ軍から譲り受けた3台のオープンカーだったそうです。
今回のケンドルラボは、できればあまりお世話になりたくない…と思いつつ、見かけると何故かワクワクしてしまう「パトカー」に関するお話です。

まずは簡単に、パトカーの種類とそれぞれの役割や特徴についての豆知識
警察車両には色々な種類がありますが、一般的な「パトカー」のイメージと合致するのは、白×黒のツートーンカラーで、ルーフに大きな赤色灯が装着されている車両ですね。
具体的には「無線警ら車」「小型警ら車(ミニパト)」「交通取締用四輪車」と呼ばれる種類の車両になります。
そして、パトカーといえば「トヨタ・クラウン」を思い浮かべる方が多いハズ。
「クラウンが多い理由」については、また後でお話しします。
さて、無線警ら車と小型警ら車は、私たちにもっとも身近な存在で、街をパトロールしたり、事件や事故の現場にいち早く駆け付けたりする役割を担っています。
一方の交通取締用四輪車は、その名の通り「交通違反を取り締まる」役割を担当。無線警ら車よりもハイスペックで、交通機動隊や高速警察隊に配備されています。
交通取締用四輪車のなかに、いわゆる「覆面パトカー」がありますが、天井裏に反転式の赤色灯が取り付けられています。
前走車の天井から飛び出す赤色灯を見たときは、何ともいえない気分になりました。
刑事さんが乗る捜査用車両もパトカーですが、あくまでも「捜査用」のため、できるだけ目立たない、クラウン以外の国産セダンが主流のようです。
捜査用車両の赤色灯は、ドラマなどでよく見る、取り外し式のもの(赤色灯やサイレンが未装着の車両もあるそう)。
なお、2015年に生産を終了した「スズキ・キザシ」は、生産台数の1/4にあたる約900台が警察に納入され、事情通の間では「キザシ=捜査車両」という認識だったとか。
パトカーといえば、トヨタ・クラウン。どんな理由で選ばれている?
街を走っているパトカーはもちろん、「警察24時」などのテレビ番組で見るパトカーも、トヨタ・クラウンばかり。
ではなぜ、クラウンがパトカーに採用されるのでしょうか?その答えは「入札で決まるから」というシンプルなものですが、「無線警ら車」の入札の条件として、警察庁が定めた以下のような基準が設けられています。
「4ドアのセダン型」「排気量は2500㏄クラス以上」「乗車定員は5名」「トランク容量は450リットル以上」「座席はビニールレザー等の耐水性・耐久性の高い素材」「サスペンションは、トランクに常時約60kgを積載し、かつ、昇降機構付き警光灯を搭載して約20万km走行することに耐えうる構造とすること」などなど、色々とあります。
しかし、パトカー(無線警ら車)に求められる基準を満たすクルマを作れるのは、トヨタだけではないハズなのに。いったい何故パトカーはクラウンばかりなのでしょうか?
それは、警察庁の基準を満たす「パトカー専用グレード」が存在する車種が、クラウンだけになってしまったから。
かつてはスカイラインやレガシィB4などにも専用グレードが存在していたそうですが、いつの間にかクラウンだけに。
これまでのパトカー専用グレードのクラウン(4WDのハイブリッド)は1台400万円程度だったようですが、現行のクラウンも同じような価格帯に収まるのでしょうか?
福島県警に1台だけ導入された燃料電池(FCEV)クラウンのパトカーのお値段は、約2,000万円とのことです。
クラウン以外のパトカー(例:北海道警察のスカイライン等)については、国の予算ではなく、各都道府県の予算で購入されるものになるようです。
また「警察庁が定めた基準」は国費で購入するパトカーにのみ適用されるとのこと。
栃木県警にはNSXやフェアレディZなどの珍しいパトカーがありますが、それらは栃木県に工場を持つホンダと日産から寄贈されたもの。
GT-RとLC500の2台は、なんと個人からの寄贈だそうです。
パトカーの赤色灯が新型に!緊急走行と通常走行の違いが「光」でわかる
昨年(2024年)10月から、赤色灯の「光る間隔」を変えることで、緊急走行と通常走行(パトロール)の区別がつきやすくなる新型の赤色灯が全国的に順次導入されています。
従来のパトカーの赤色灯は「0.5秒間隔」で点滅。緊急走行と通常走行の違いは「サイレンの有無」だけでした。
そのため、聴覚の問題でサイレンが聞こえない方々から「緊急走行か通常走行か区別がつかない」という声が挙がっていたそうです。
そこで、新型のパトカーの赤色灯では、通常走行の場合にのみ「2秒間隔で徐々に光が強くなる(サイレンなし)」という点滅パターンが新たに採用されました。
聴覚の問題の有無に関わらず、すべての人にわかりやすくなるのは嬉しいことですね。