皆さんこんにちは!「ケンドルラボ」担当・ケン太です。
仕事柄、さまざまなメーカー・ブランドのクルマに触れるなかで、気になっているのが「ディスプレイオーディオ」を搭載したクルマが増えてきたことです。
それらのクルマは、従来のカーナビの代わりにスマートフォンを接続したり、メーカー提供のコネクテッドサービスを利用したりするのですが、このようなスタイルが当たり前になるのも時間の問題なのでしょうか?
というわけで、今回のケンドルラボはカーナビに関するお話です。
ひと昔前のカーナビの画面上で、道路のない海上や山中を走っていることも珍しくない私ですが、カーナビについてあれこれ勉強してみました。

じつは「日本生まれ」のカーナビ。基礎を築いたのは日本の3大メーカー
カーナビは今から40年以上も前に、日本で誕生しました。
カーナビの元祖は、ホンダが1981年に生み出した「ホンダ・エレクトロジャイロケータ」です。
クルマに搭載したセンサーで自車の「方向」と「距離」を検出し、道路上の位置を示すデータに変換。
自車位置を光の点にして、画面上(白黒・6インチのブラウン管)に表示させるという仕組みでした。
アコード/ビガーのオプションで、価格は29万9,000円(工賃込)だったそうです。
当時はGPS(Global Positioning System)による位置情報を利用できなかったため、車載センサーのみで自車位置を検出していました(そもそもホンダが目指したのは完全自立航法)。
そして、このシステムの最大の特徴は「紙芝居式」であること。
画面の前にセルロイドの「透過性地図シート」を差し込み、地図上の光の点で自車位置を確認するというアナログな方式だったのです。
当然ながら、エリア毎の地図の交換や、自車位置のズレ修正といった手間が必要でした。
「地図のデジタル化」にも目を向けていたホンダは、地図データを光ディスクに記録する技術で特許を取得します。ところが、その特許技術を無料で開放。
「地図データのデジタル化を加速させる」ことを最優先にしたのだそうです。
そして1987年、CD-ROMに記録された電子地図が画面上に表示される「エレクトロマルチビジョン」がトヨタ・クラウンに搭載されることになります。
2年後の1989年には、今では定番の「進行方向が上」になるように地図を表示する「マルチAVシステム」が日産・シーマに搭載されます。
以降、カーナビは驚くような進化を遂げ、カーライフに必要不可欠なアイテムとして定着することになります。
もともと軍事目的で開発されたGPS。日本版GPSの登場で精度がさらに向上
自車位置の検出にGPSを利用したカーナビが登場したのは、1990年のこと。
世界初のGPSカーナビは、マツダ(ユーノス)・コスモに搭載された「CCS(カーコミュニケーションシステム)」です。
同時期にパイオニア(カロッツェリア)から「AVIC-1」という市販型のGPSカーナビも登場しており、1990年はGPSカーナビ元年といえますね。
現在ではカーナビのほか、スマートフォンやカメラ、腕時計、ドローン、スマートタグなどなど、さまざまなアイテムに搭載されているGPS。もはや「当たり前」のような存在となっているGPSですが、もともとは1970年代にアメリカが軍事目的(航空機や船舶、車両等の位置確認)で開発したものでした(開発のスタートは1960年代)。民間に開放されたのは80年代に入ってからで、当初は民間航空機の安全航行が目的だったそうです。
カーナビが自車位置を検知するために利用するGPS信号は、高度約2万kmで地球を周回するアメリカのGPS衛星(予備機を含む約30機)から送られています。
GPS信号を受信したカーナビは、GPS信号に含まれる「電波の発信時刻」と「衛星の軌道情報」をもとに、GPS衛星との距離を計算することによって、自車位置を検知しています。
ずいぶんと長い間「GPS信号=位置情報」だと思い込んでいましたが、そうではなかったのですね…。
GPS衛星からの信号を、カーナビが常に良好な状態で受信できれば良いのですが、地形や建造物、衛星の位置などの影響を受けて精度が落ちる可能性もあります。
それらの影響をカバーするのが、日本独自の準天頂衛星システム「みちびき」です。
みちびきは、日本上空に長く留まることができるなどの理由で、位置情報の精度向上に貢献しています。
「みちびき対応」のカーナビをお持ちなら、ビル街や山間部などの場所でも安心ですね。
※ロシアやEUの衛星からの信号を利用できるカーナビもあるようです。
スマホやコネクテッドサービスの普及で、カーナビは今後どうなる?
ルート案内だけでなく、多彩な機能を搭載してドライブを楽しませてくれるカーナビですが、近年では「ルート案内はスマートフォンのアプリで十分」という方も増えています。
さらに、自動車メーカーなどが提供する高度なコネクテッドサービスも始まっており、「カーナビ」の形や概念がこれまでとは変わりはじめています。
それでも、カーナビはクルマにとって欠かせない存在であり、これから先もその必要性、重要性が変わることはないでしょう。
今後は自動運転の時代がやってきますので、カーナビも自動運転技術と連動して進化していくのは間違いありません。
そう考えると、カーナビは今後「メーカー純正」が主流になるのかもしれません。カーナビがどんな風に進化していくのか楽しみです。