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  • 執筆者の写真Kendall Lab

DCT(デュアルクラッチトランスミッション)とは、一体どんなトランスミッションなの?

皆さんこんにちは!「ケンドルラボ」担当・ケン太です。

先日、映画「フォード対フェラーリ」を観ました。

以前、ケンドルラボでもご紹介した「シェルビー・マスタング」で知られるカーデザイナーのキャロル・シェルビー氏が、レーサーのケン・マイルズ氏と共に、「ル・マン24時間レース」で絶対王者のフェラーリに戦いを挑むというストーリーです。

シェルビー氏の役はハリウッドスターのマットデイモン氏が演じています。モータースポーツに興味がない方でも楽しめる映画ですので、皆さんもぜひご覧ください!


さて、今回のケンドルラボのテーマは、スポーツカーによく搭載されている「DCT(デュアルクラッチトランスミッション)」に関するお話です。

まずは、DCTとはどのようなトランスミッションなのか、簡単に見ていくことから始めましょう。(ここから先は、出張中のケン太の代打として、ケン太の上司が担当します)




2つのクラッチを備え、軽快なスタートダッシュが体感できるDCT


DCTとは「Dual Clutch Transmission」の頭文字を取ったもの。

日本語ではそのまま「デュアルクラッチトランスミッション」と訳されています。Dual(デュアル)は「二重の」という意味で、Double(ダブル)やTwin(ツイン)とほぼ同義語です。


3ペダル式MT(マニュアルトランスミッション)や2ペダル式AMT(例:アルファロメオ・セレスピード他)にはクラッチが1つしかありません。

それに対してDCTは、基本構造がMT(マニュアルトランスミッション)でありながら、付いているクラッチは2つ。

クラッチが二重(デュアル)になっていることで、クラッチ解除と接続を瞬時に行うことができ、より素早い変速ができるというトランスミッションです。


DCT搭載車はアクセルとブレーキの2ペダル式で、操作は自動制御(メカトロ/油圧制御部)で全部やってくれるので、AT限定免許で運転することができます。

しかし、DCTを搭載する車種はそのほとんどが欧州車で、日本車での採用はほんの一握りです。

すぐに思い浮かぶのは、三菱・ランサーエボリューションX、日産・GT-R、ホンダ・NSX/フィットハイブリッド…といったところでしょうか。



なぜDCTは欧州車に多く採用されているのか?


今日現在、アメリカや日本での「AT車の普及率」は、ほぼ100%に近い水準にまで達しています。

それに対して欧州では、まだまだAT車の普及率は低く、現在でもアクセル・ブレーキ・クラッチの純粋な3ペダル式のMT車が半数以上を占めているのが実情です。

これは長い歴史から成る民族性や価値観の違いによるものです。欧州の田舎町でレンタカーを借りる場合はMT車しか置いていないことも多いのでご注意を!


さて、欧州車にDCTが多く採用されている理由ですが、上述のようにMT車が多いという独自のマーケット事情、それに伴い、欧州勢(欧州自動車メーカーほか)はMTとの部品共通化を大前提とした、コスト競争力のある2ペダル式トランスミッションの開発を積極的に推し進めてきたことが背景にあるからです。


DCT搭載車はMTに似たダイレクト感のある走りが得られることから、欧州内のMT車オーナーにも乗り換えを訴求しやすく、また、アクセルとブレーキの2ペダル式であることから欧州以外でも比較的販売しやすいと期待され、DCT搭載車の数も増えてきたのです。


ただし、発進・停止がスムーズな「トルコン式AT車」に慣れている多くの日本人ドライバーにとっては、低速域(10~15km程度)で発生しがちなDCT特有の「カクカク感」や「ギクシャク感」は、高級車として納得のいかないパフォーマンスと映ってしまうようで、正直なところ日本ではあまり人気がありません。


ここでいうDCT特有の「カクカク感」「ギクシャク感」とは、たとえば、減速から停止までの数秒間や、発進時にスピードメーターの針が動き始めたくらいのタイミング、リバースに入れてゆっくり後退し始めたときなどに発生します。

それはまるで、MT車のクラッチを繋ぎ損ねたときの状態にそっくり。不快な上下振動を伴い、スムーズな発進・停止が妨げられるので、気になる方も多いようです。


某輸入車ディーラー勤務の友人によると、お客様の中にはこうした「カクカク感」や「ギクシャク感」を車の故障と勘違いされ、修理してほしいと来店する方も少なくないと聞きます。

こうしたケースでは、お客様が所有されていた前車は、まず100%トルコンタイプのAT車だといいます。



DCTに別れを告げたBMW。多段化ATの進化でDCT離れが加速!?


2000年初めに乗用車向けDCTの量産化がスタートしてから、早くも20年ほどが経過しましたが、最近になってBMWは今後の新車にはDCTを搭載しない方針を打ち出しました。

やはり、日本以外の諸外国でも、あの「カクカク感」や「ギクシャク感」の評判が良くなかったのだと思われます。


今後は従来からある純粋な3ペダルMT車とトルコン式AT車に絞って車を生産していくようです。しかし、BMWが思い切ってDCTを廃止する理由としては、それ以上にトルコン式ATの多段化技術(8速や9速)の進歩が大きかったからという声もあるようです。


DCT(デュアルクラッチトランスミッション)は近い将来、BMWに続いて他の欧州自動車メーカーでも廃止される可能性が高くなっています。

しかし、市場にはまだまだ数多くのDCT搭載車が走っていますので、私たちオイルメーカーはDCTフルードの交換需要を無視するわけにはいきません。


次回のケンドルラボでは、DCT本体を構成する部品の1つでもある「DCTフルード」についてお話したいと思います。


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