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  • 執筆者の写真Kendall Lab

「あの深緑色、じつは・・・」ペンシルバニア産エンジンオイルのお話

皆さんこんにちは!Kendallラボ担当・ケン太です。

つい先日、親戚から「ドライブのお土産」として、和歌山県産の柿をいただきました。

柿の生産量が日本一の和歌山県では、色々な品種の柿が店頭に並んでおり、どれを購入すべきか迷ってしまったそう。

そこで「食べ比べできるように」と、数種類まとめて買ってくれていました。

さすが本場・和歌山の柿。どれも見た目からして美味しそうでしたし、実際に食べるとしっかり甘くて最高でした。


ところで、どんな商品も「産地」が併記されていると、何やら高品質な感じがしませんか?

たとえば、北海道産じゃがいも、新潟県産コシヒカリ、高知県産カツオ、熊本県産和栗、鹿児島県産黒豚・・・といった具合に。

エンジンオイルにも「ペンシルバニア産エンジンオイル」と呼ばれるものがありますが、実際のところはどんなものなのでしょう?




ペンシルバニア産のエンジンオイルが「高品質」といわれた理由

いわゆる「旧車」と呼ばれる類のクルマ・バイクの愛好家を中心に、今もなお神話のように語り継がれているのが、今回のテーマである「ペンシルバニア産エンジンオイル」です。

それは文字通り、アメリカ北東部に位置する、ペンシルバニア州で採掘された原油を精製し、そのベースオイルで作られるエンジンオイルを意味しています。


今から100年以上も昔の話になりますが、ペンシルバニア州で採掘される高品質な原油を目当てに、いくつものオイルメーカーが競うようにしてペンシルバニア州に油田を構えていました。

それらオイルメーカーのひとつが、私たちKendall(ケンドル)です。


当時、ペンシルバニア産の原油が高く評価された理由は、潤滑油に適したグレードの高いパラフィン系原油であったためです。

この原油を精製して出来上がったベースオイルの構成炭素を「パラフィン(%CP)」、「ナフテン(%CN)」、「アロマ(%CA)」に分類した場合、熱安定性に寄与する「パラフィン(%CP)」の割合が6~7割であるものを【パラフィンリッチ】と呼びます。

ペンシルバニア産由来のベースオイルはとても希少な存在だったのです。



精製技術・装置の進化により、もはや原油の質・産地は問題にならない

かつてオイルメーカーが競って採用していたペンシルバニア産原油由来のベースオイルですが、現在ではクルマやバイクの新車用エンジンオイルとして採用しているメーカーは皆無であるように思います。


質の良い原油であるハズなのに、最新のクルマやバイク用の潤滑油として使われることがなくなったのは何故か?その理由は、ひと言で説明できるくらい簡単です。


昔は天然の原油の優劣に頼ったオイル作りをしていましたが、時代とともに石油精製の技術や装置が大幅に進化し、原油の質に頼らずとも高品質なベースオイルを製造できるようになったから・・・これが理由です。


もちろん、エンジンオイルを構成する添加剤やポリマーの技術もまた進化していることは言うまでもありません。

現在では、Kendall製品にもペンシルバニア原油由来のベースオイルは使われていませんが、高品質な製品を提供し続けています。


ところで、ネットなどを見ていますと「ペンシルバニア原油は枯渇したのでは?」と考える方も少なくないようです。

実際のところ、ペンシルバニア原油の埋蔵量は、事実上まだ100年分以上あるといわれており、今すぐに枯渇する心配はなさそうです。



美しい深緑色をしているのは「潤滑油用の染料」で染めているから

巷では、今でもペンシルバニア産原油から精製したベースオイルを使った旧車用エンジンオイルが売られています。

そして「ペンシルバニア産エンジンオイルは、美しい深緑色をしている」といったような宣伝文句まで見受けられます。

とくにご年配の旧車愛好家の方に“ペンシルバニア産”への愛着、こだわりをくすぐる宣伝文句であるのかもしれません。


ただ、大人のロマンを壊してしまうかもしれませんが、ペンシルバニア原油を精製して出来上がってくるベースオイルの外観は濃い茶褐色です。これに添加剤、ポリマーをブレンドしてエンジンオイルを作るわけですが、完成品であるエンジンオイルが深緑色しているというのは、あくまでもオイルメーカーさんによるイメージ戦略による着色です。

潤滑油専用の染料でペンシルバニア原油似の色へイメージを近づけているわけです。

「ペンシルバニア原油の色」=「エンジンオイルの色」ではないのです。


最後に、一般的な原油の色は、黒褐色や赤褐色なのですが、本物のペンシルバニア産の原油の外観は“深緑がかった黒褐色”というのが正しい表現かもしれません。

私もアメリカで実物を見せてもらったことがあるのですが、残念ながらお世辞にも美しい深緑色とは言えないですね。

 

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