昨日までダメだった値上げが、今日はOK?
こんにちは。Dr.クリークです。
ここ最近、潤滑油の価格改定が続いていますね。
原油価格や原材料費が上がれば、当然、オイルの製造コストにも影響します。
でも、コストが上がったからといって、すぐに販売価格を上げられるわけではありません。売る側には売る側の事情があり、買う側には買う側の事情がありますからね。特に大手メーカーとの取引となると、価格の決め方や社内の承認手続きなどもあり、そう簡単にはいかないものです。
今日は、そんな価格交渉にまつわる、ちょっと面白い話をひとつ。
以前、ある潤滑油メーカーの方から、こんな話を聞きました。その潤滑油メーカーは、ある大手部品メーカーに工業用潤滑油を納めていました。ここでは、その大手部品メーカーを仮にA社としておきましょう。
当時、原材料価格の上昇などを理由に、何度も値上げをお願いしていたそうです。
ところが、なかなか認めてもらえない。もちろん、A社にも予算や価格決定のルールがあったのでしょう。
ただ、何度相談しても、なかなか話が前に進まなかったそうです。
そんな中、中小企業庁が取引先との価格交渉や価格転嫁への対応について、発注側企業の実名を公表しました。A社も、価格交渉への対応について厳しい評価を受けた企業の一つでした。
すると、その発表の翌日です。それまで難しかった価格交渉が、急に進み始めたというのです。なんと、希望していた値上げ幅を上回る条件で、値上げを認めてもらえたのだとか。
いやはや、驚きますよね。何度お願いしても難しかった値上げが、今度は上乗せまでして認められる。
その話をしてくれた潤滑油メーカーの方が、ぽつりと漏らした一言が今でも忘れられません。
「できるんだったら、最初からやってよ……」
その気持ちも、分からなくはありません。ただ、購買担当者の立場からすれば、価格を抑えることも大切な仕事です。会社の方針や社内の承認が変わらなければ、担当者の判断だけでは動かせないこともあるでしょう。
そう考えると、購買担当者だけを責めるわけにもいきませんね。会社の方針というものもありますから。
一方、サプライヤーの立場からすれば、原材料費が上がっても、すぐに価格へ転嫁できなければ、当然、経営への負担になります。どちらの立場にも、それぞれの事情があるわけです。
そして、原材料の供給が不安定になれば、今度は価格以上に、必要な数量を確保できるかどうかが重要になります。安定供給のためには、売る側と買う側が無理なく取引を続けられることも大切なんでしょうね。
価格交渉というのは、単に高い、安いを決めるだけの話ではない。
そんなことを、あらためて考えさせられた出来事でした。
■ Dr.クリークならこうします。
私なら、価格改定の相談を受けたとき、まずはその理由をきちんと聞くようにします。もちろん、言われるがままに値上げを受け入れるわけではありませんよ。
売る側にも買う側にも、それぞれの事情がありますからね。
ただ、目先の価格ばかりにこだわって、長年築いてきた取引関係を損なってしまうのは、もったいない話です。
安く買うことも大事。でも、安心して買い続けられることは、もっと大事かもしれませんね。


