top of page

Dr.クリークの独り言

logomark.png
image.png

昨日までダメだった値上げが、今日はOK?

2026年10月16日

#003


こんにちは。Dr.クリークです。


ここ最近、潤滑油の価格改定が続いていますね。

原油価格や原材料費が上がれば、当然、オイルの製造コストにも影響します。


でも、コストが上がったからといって、すぐに販売価格を上げられるわけではありません。売る側には売る側の事情があり、買う側には買う側の事情がありますからね。特に大手メーカーとの取引となると、価格の決め方や社内の承認手続きなどもあり、そう簡単にはいかないものです。


今日は、そんな価格交渉にまつわる、ちょっと面白い話をひとつ。


以前、ある潤滑油メーカーの方から、こんな話を聞きました。その潤滑油メーカーは、ある大手部品メーカーに工業用潤滑油を納めていました。ここでは、その大手部品メーカーを仮にA社としておきましょう。


当時、原材料価格の上昇などを理由に、何度も値上げをお願いしていたそうです。


ところが、なかなか認めてもらえない。もちろん、A社にも予算や価格決定のルールがあったのでしょう。

ただ、何度相談しても、なかなか話が前に進まなかったそうです。


そんな中、中小企業庁が取引先との価格交渉や価格転嫁への対応について、発注側企業の実名を公表しました。A社も、価格交渉への対応について厳しい評価を受けた企業の一つでした。


すると、その発表の翌日です。それまで難しかった価格交渉が、急に進み始めたというのです。なんと、希望していた値上げ幅を上回る条件で、値上げを認めてもらえたのだとか。


いやはや、驚きますよね。何度お願いしても難しかった値上げが、今度は上乗せまでして認められる。


その話をしてくれた潤滑油メーカーの方が、ぽつりと漏らした一言が今でも忘れられません。


「できるんだったら、最初からやってよ……」


その気持ちも、分からなくはありません。ただ、購買担当者の立場からすれば、価格を抑えることも大切な仕事です。会社の方針や社内の承認が変わらなければ、担当者の判断だけでは動かせないこともあるでしょう。

そう考えると、購買担当者だけを責めるわけにもいきませんね。会社の方針というものもありますから。


一方、サプライヤーの立場からすれば、原材料費が上がっても、すぐに価格へ転嫁できなければ、当然、経営への負担になります。どちらの立場にも、それぞれの事情があるわけです。


そして、原材料の供給が不安定になれば、今度は価格以上に、必要な数量を確保できるかどうかが重要になります。安定供給のためには、売る側と買う側が無理なく取引を続けられることも大切なんでしょうね。


価格交渉というのは、単に高い、安いを決めるだけの話ではない。

そんなことを、あらためて考えさせられた出来事でした。


■ Dr.クリークならこうします。

私なら、価格改定の相談を受けたとき、まずはその理由をきちんと聞くようにします。もちろん、言われるがままに値上げを受け入れるわけではありませんよ。


売る側にも買う側にも、それぞれの事情がありますからね。

ただ、目先の価格ばかりにこだわって、長年築いてきた取引関係を損なってしまうのは、もったいない話です。


安く買うことも大事。でも、安心して買い続けられることは、もっと大事かもしれませんね。


image.png

『Kendall』と『Honda Racing』、意外なつながり。

2026年10月1日

#002


こんにちは。Dr.クリークです。


KendallとHonda。


あまり関係がなさそうに見えますよね。でも実は、ちょっと面白いつながりがあります。


Kendallブランドを展開・製造しているPhillips 66 Lubricantsと、American Honda Motor Co., Inc.との関係は、2010年から続いています。


現在も、アメリカ国内の1,350店を超えるHonda・Acuraディーラーへエンジンオイル等を供給しています。


そして2025年。


その関係は、レースの世界にも広がりました。


Honda Racing Corporation USA(HRC US)とPhillips 66 Lubricantsが提携し、IMSA WeatherTech SportsCar Championshipを戦う【Acura ARX-06】で、オイルの研究開発が行われています。


レースというと、どうしても順位やラップタイムに目が行きます。


でも、オイル屋から見ると、少し違います。高回転、高温、長時間の連続運転。オイルにとっては、かなり厳しい環境です。


この【Acura ARX-06】も、単にレースをするためのクルマというだけではなく、オイルを開発するための「走る実験室」として使われています。


そして、もう一つ面白いことがあります。



このレース活動には、Kendallも登場しています。


2025年には、Kendall Motor Oilのロゴを大きく掲げた【Acura ARX-06】が、実際にIMSAを走りました。


普段、日本で販売しているKendallの名前が、Honda Racingのレーシングカーにもある。長くKendallに関わってきた私としては、やはりちょっと嬉しくなります。


でも、私が本当に気になるのは、その先です。


レースで何が起こったのか。オイルはどう変化したのか。そこから、どんなことが分かったのか。


そして、その経験が次のオイルにどう生かされていくのか。


レースには、そんな見方もあるのだと思います。


■ Dr.クリークならこうします。

私なら、レースの結果より、そこでどんなデータが取れたのかが気になります。オイルにとって、レースはかなり厳しい試験環境です。


そこで得たものが、次のオイルにどう生かされるのか。私は、そちらを見ています。


image.png

優秀な技術者は、説明もうまい。

2026年9月16日

#001


はじめまして。Dr.クリークです。

前任者のケン太に代わりまして、これからは私が「Dr.クリークの独り言」と題して、日頃感じていることや、ちょっと気になったことなどを気ままに書いていこうと思います。

難しい話ばかりではありませんので、よかったら時々のぞいてみてください。投稿の際は、X(旧Twitter)でもお知らせします。


私はこれまで、国内外の潤滑油メーカーの技術者の方々と話をする機会がたくさんありました。

今でも日本トライボロジー学会や米国SAE International に所属していますので、学会へ参加することがあります。

そこで、いつも思うことがあります。

本当に優秀な技術者って、話が分かりやすいんです。

難しい専門用語を並べるのではなく、難しい話をできるだけ簡単な言葉に置き換えて説明してくれます。

プレゼンも上手です。

スライドを切り替えるタイミングも自然ですし、発表後に予想外の質問が飛んできても、ほとんど慌てません。

もちろん、分からないこともあります。

でも、「分かりません」で終わらない。

分かる範囲で考え方を説明したり、「ここまでは分かっています」と答えたりする。

こういうところにも、その人の知識や経験が出るんだな、といつも感じます。

そして、もう一つ面白いのが資料の見せ方です。



例えば、こんなグラフを見たことはないでしょうか。

A社とB社を比較した性能試験です。

実はこの2つ、まったく同じデータです。

違うのは、縦軸の取り方だけ。

でも、ずいぶん印象が違いませんか?

縦軸を狭くすれば、A社とB社の差が大きく見えます。

逆に広くすれば、「それほど差はないな」と見えます。

もちろん、数字をごまかしているわけではありません。

同じデータでも、伝え方ひとつで印象はこんなに変わる。

これもプレゼンの技術なんだな、と私はいつも感心します。

技術者というと、「技術に詳しければそれでいい」というイメージがあるかもしれません。

でも、私がこれまで出会ってきた優秀な技術者は、難しいことを難しく話す人ではありませんでした。

難しいことを、分かりやすく話せる人。

これも技術者にとって大切な能力なのだと思います。

■ Dr.クリークならこうします。

私なら、グラフを見たらまず縦軸と横軸を見ます。

特に、「ずいぶん差があるな」と思ったときほどです。

グラフを見る前に、まず軸を見る。

これが私のちょっとしたクセです。


bottom of page