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オートマオイル(ATF)も定期交換が必要なの?


現在の愛車が9台目のクルマになりますが、そのうち4台がオートマ車です。最近は私と同じように、オートマ車を所有している方が圧倒的に多いと思います。

私の場合、どのクルマも結構な距離を走らせていましたので、オートマオイル(以下、ATF)は時期を見て度々交換してきました。


「えっ?ATFって交換しないといけないの?」「ATFはどのくらいの頻度で交換するの?」という方も少なくないと思います。

今回のKendallラボでは、ATFの定期交換の必要性について、さまざまな立場や考え方をご紹介したいと思います。



「エンジンオイルよりも長持ちする」オートマオイル(ATF)

すでに皆さんもご存知の通り、エンジンオイルは「エンジンをスムーズに作動させる(潤滑)」「エンジン内部を汚れや錆びから守る(洗浄・防錆)」「エンジンを高温から守る(冷却)」といった役割を果たしており、定期交換を必要とするオイルです。


一方、ATFも「P(パーキング)、R(バック)、D(ドライブ)の変速」といった特有の役割があるものの、エンジンオイル同様に「潤滑」「冷却」など共通する役割も持ち合わせています。

そうなると、ATFも定期的な交換が必要になるハズですが、それほど話題になることはありません。

ATFの場合、エンジンオイルとは事情が少し異なるのです。


ATFは油圧作動油の一種であり、完全とはいえないまでも密閉されているということもあって、エンジンオイルに比べると長持ちするオイルであるといえます。

品質の優劣はあるものの、ATFは事故や故障がない限り、エンジンオイルのように3000km、5000km(または半年)といった短いスパンでの交換が必要とされることはまずありません。



置かれている立場によってATFの取り扱いや考え方に違いがある

次に、ATFの取り扱いや考え方について見てみると、自動車メーカー、ミッションメーカー、カーディーラー、補修部品を販売する事業者、オイルメーカーなど、それぞれの置かれている立場によって「ATFの定期交換」の必要性は意見が分かれるところです。


それでは、自動車メーカーやミッションメーカーの新車組付けを担当する方々の考え方から見ていきましょう。最近の純正ATFは90年代のスペックと違い、耐久性が向上しています。

そのため、メーカーによって多少考え方に違いはあるものの、「10万kmまたは5年」など、クルマの保証期間内において「ATFは交換する必要がない」というのが基本的な立場ではないかと思います。


メーカーとしては、ミスマッチなATFへの交換を避けたいという気持ちがあるようです。

また、近年増えているレベルゲージがないクルマでは、油量や油温管理、交換作業が複雑化していることもあり、作業ミスによる無用なトラブルをできるだけ避けたいという気持ちもあるのでしょう。

その一方で、ミッションメーカーの補修部品の販売に携わる方々は、汎用ATFを販売し、ATFの定期交換にも積極的です。


次に、実際にクルマのユーザーと接しているカーディーラーの考え方を見てみましょう。

カーディーラーにおいて「エンジンオイルの交換は勧められても、ATFの交換を勧められたことがない」という方も多いのではないでしょうか?


それは、カーディーラーも自動車メーカーの方針に従い、基本的には「ATFは交換する必要がない」という立場を取っているところが多いためです。

しかし、熟練のサービスマンの中には、過去の経験を踏まえ「一定の距離数を超えているクルマ」や「車検時」などのタイミングで、積極的なATFの交換を勧めているところもあるようです。


最後に、補修部品を販売する事業者や私たちオイルメーカーの立場です。

ATFはエンジンオイルよりも長持ちするものの、オイルである以上、年数の経過や使用条件によって黒く汚れ、酸化劣化します。そのため、ATFもエンジンオイル同様に「消耗品」の一つであると捉え、交換機器や設備を持っている自動車整備工場等を中心に、「ATFの定期交換」を推奨しています。

私たちは「10万kmを超えてもしっかり走れるクルマ作りを!」をテーマに「予防整備」としてのATF交換を積極的に勧めています。


ご存知の方もおられると思いますが、「走行距離数が10万kmを超えている過走行車」や「長年、一度もATFの交換をしていない車」などでは、酸化劣化したATFがAT内部にスラッジ化したものや金属粉が堆積するなどの可能性が高くなり、ATF(油)だけを交換しようとすると逆に交換リスクが伴います。

これについては、また別の機会に詳しくご説明したいと思います。


オートマ車のトランスミッションをより良い状態で維持することは、安全・安心はもちろん、気持ちの良い走りや、燃費の善し悪しなどにもつながってきます。

それらの問題を左右するATFの交換に関しては、定期点検や車検などのタイミングで、まずは経験豊富で信頼できる整備士さんに相談してみるのが良いでしょう。